「カラー資格難民」って?2022/10/04

2018年に発表した共同論文に、

カラータイプ理論の特徴とその開発プロセスについて
~ソーシャル・スタイル理論との符号性を中心に~

があります。

その中で、私自身が資格取得の後、実際に仕事が出来るようになるまでの苦悩や、
不定期に開いていた「無料個別相談会」で、「カラーの資格は取ったけど
仕事への糸口が見つけられない」と相談に来る人たちの悩みについて述べています。

せっかく取った資格が有効に活用されない歯がゆさと、
「カラー」の社会的地位向上に向けた活動が必要だと考えた話。

下記、今一度抜粋してお伝えします。
少し長いですが、お付き合いください。

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3 カラーコーディネーターの社会的地位向上のために

すでに説明しましたように、私は2002年からカラーの仕事を始めて、色彩検定講師、パーソナルカラー講師、色彩心理講師などを行ってきました。またご縁が合って、NTTドコモでの研修や売場づくりの直接指導、パナソニックでの配色研修などのチャンスがありました。

また、自分自身がプレイヤーとして働くと同時に、「カラーコーディネーター」や「カラーリスト」という肩書を持つ人がカラーの資格だけを取って、全く仕事になっていないという相談をたくさん受けていました。

資格を活かせる場がなかなかない状況で、カラーコーディネーターのスキルが磨かれないのはもちろんで、「カラーコーディネーター」の名刺をビジネス交流会の場で出すと、露骨に嫌な顔をされ「この間、マンションの外壁カラーをカラーコーディネーターに頼んだら、すごく派手な色をつけられて、本当に文句を言いたいよ」というような反応をされることもありました。

「カラー」という素晴らしいツールが、うまく伝わらないこと、未熟なカラーコーディネーターによって世の中に認知されていない。これをすごく勿体ない、どうにかしたいという使命のようなものを感じ、この打開策を考える日々でした。これを解決するのは、ひとりひとりが個人戦で頑張ってもどうにもならない。もっと組織で!共通のツールで!という強い思いでした。

「カラーの資格が仕事にならない ⇒ 経験をつめない ⇒ 実際にカラーを現場で使おうと思ったらその現場力がない ⇒ 仕事の完成度が低く、評価がさがる」という、この悪循環をどうにか切り抜けるには、どうすればいいのか? 

それを、当時カラースクールも運営していた中で、「誰にでも伝えられる色は何か?」「カラーの仕事を100%認知、100%使用してもらえるにはどうしたらいいか?」を日々考えていたのです。

「カラー」の社会的地位が低いことは、毎日名刺交換する相手の反応でいやがおうでもわかりました。例えば、ビジネススクールでお会いした製薬会社の人に、「カラーについて一度プレゼンされて欲しい」とお願いしたところ、「僕の趣味だと思われてしまうので、仕事時間中ではちょっと……」と口を濁される。パナソニックでの配色研修が決まった時も「カラーコーディネート研修」だと、お遊びのオシャレのセミナーだと思われるので「プレゼン資料作成研修」と研修名を変えたい。「カラーコーディネーター」の名刺を出すと、「何それ?そんなので仕事になるの??」という露骨かつ素直な反応。「カラーの仕事をしている」と高校時代の男性の友人に告げたら、「お前、大丈夫か? 変な仕事するなよ」と言われた。

もう、こんな対応は毎日のことで、はじめの頃は内心悔しく思っていましたが、このような反応が30名を超えるころからは考え方を変えて、これだけ皆が「それは仕事にならない」「そんな訳のわからない仕事を何故するのか?」というのであれば、これを本当に仕事にできたら絶対にブルーオーシャンになると考え方を切り替えたのです。

この時に「カラーの仕事」に近いと考えたのは、当時流行しだしたネイルサロンでした。ネイルはそれまで自分でネイルカラーを買って自分で塗る。「そこにわざわざ人の手を借りるの?」「わざわざお金をかけて?」とネイルサロンが流行出した時に思ったものです。それを考える中で、カラー理論をもっと知ってもらえるには、配色理論やパーソナルカラー理論ではなく、人と色彩心理を結びつけたものだという結論に行きつきました(誰もが「人」なのでこれに興味がない人はいないという考えのもと)。

私の頭の中で自然とでき上がっていた「この色を持つ人はこのような言葉を発する」「この色を好きだという人は〇〇の時計をしている」「この色を嫌いだと言った人は〇〇のような人を苦手だと言っている」という法則性のようなものをもっと整理して「視覚化」すれば、何か特別な能力のある人だけがアドバイスできるのではなく、ちゃんと教育された人が正しくツール(CTマップ)を使えば、個人の能力に頼らない安定したアドバイスができるのではと考えたのです。

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このような動機からカラータイプマップとカラータイプ理論が開発されて
行ったのです。

この話をどうしてまた思い出しているのかというと、
最近、10年以上前にカラーの資格を取ってそれを活かしきれていない
「カラー資格難民」の方とじっくりと話す機会があったからです。

司法試験というような難関試験合格者でも食べていけない人が
多いと聞くこの「資格保有者」の活用は、
「それを仕事にする」という面と、「一生のライフワークで活用する」の
両方向で考えていければ、具体的な対策が見えてきそうです。

論文作成打ち上げでの話とカラー資格難民の方との話。

これらは全部今後の活動に繋がっていきそうです。