【論文テーマ】
カラータイプ理論×チームワーク
タイプの違いを活かしたアスリートの「価値共創」とビジネスの「協働関係」について

チームワークは、個々の資質や関わり方によって成果が大きく左右されます。協力がうまく機能すれば「価値共創」が生まれる一方で、
衝突や不信感が積み重なれば「価値共破壊」にもつながります。

本研究では、色彩心理を基盤とした カラータイプ理論 と、アダム・グラントの Give&Take理論 を組み合わせ、
「他者に貢献しながら自らも成長する関わり方=アザリッシュ」に注目しました。

また、活躍するアスリートの体験をもとに、対戦相手との心理分析やアスリートのゾーン体験についても研究を進めています。

1. カラータイプ理論とは

カラータイプ理論は、色彩心理をベースに、カラーコンサルタントの
河野万里子が2009年に開発した性格タイプ分類の理論です。

13色で個人の資質を可視化できる点が特徴で、色のスコアに応じて
決断タイプ、創造タイプ、協調タイプ、堅実タイプの4つに分類されます。

それぞれの強みやこだわり、さらにタイプごとのコミュニケーションスタイルを
理解することで、チームワークの向上や組織開発にも幅広く活用されています。

カラータイプ理論について詳しくはこちら

カラータイプ理論図

2. チームワークと価値共創の考え方

チームワークを語るとき、重要となるのは「どのようにして互いに価値を生み出すか」です。

アダム・グラントの Give&Take理論 では、人との関わり方を大きく3つに分けて考えています。

  • ギバー(Giver):人に惜しみなく与える人
  • テイカー(Taker):与える以上に奪おうとする人
  • マッチャー(Matcher)
    ギブ&テイクのバランスを取ろうとする人

この中で特に注目されるのが「ギバー」です。ギバーには、

  • 与えすぎて疲れてしまう「自己犠牲型ギバー」
  • 他者に貢献しながら自分の成長も大切にする
    「他者志向型ギバー(アザリッシュ)」

の2つのタイプがあると紹介されています。

チームワークにおいては、協力によって「価値共創」が生まれる一方で、衝突や不信感が積み重なると
「価値共破壊」が起こるとも言われています。

こうした考え方とカラータイプ理論の関連を踏まえ、分析・研究を行いました。
タイプごとの特徴を整理することで、互いの強みを活かし合う価値共創のあり方が見えてきます。

3. カラータイプ別にみる「ギバー」「テイカー」の特徴

カラータイプ理論の4タイプ(決断・創造・協調・堅実)は、
それぞれの強みをチームに発揮する一方で、関わり方によっては
「価値共創」にも「価値共破壊」にもつながります。

ここでは各タイプを「ギバー」「テイカー」の視点から整理します。

3.1 決断タイプの「ギバー」「テイカー」の特徴

  • 決断タイプ「ギバー」:挑戦を恐れず行動し、リーダーシップを発揮する。
    チームを前へと導く存在。
  • → 他者志向型ギバー(アザリッシュ)の場合
    仲間を守る親分肌。成果を追求しつつ全体を支える推進力を発揮し、
    信頼されるリーダーとなる。
  • 決断タイプ「テイカー」:競争心が強く、成果や地位を優先する傾向。
    独走すると周囲を置き去りにしやすい。

3.2 創造タイプの「ギバー」「テイカー」の特徴

  • 創造タイプ「ギバー」:直感や発想を惜しみなく共有し、チームに新しい視点をもたらす。
  • → 他者志向型ギバー(アザリッシュ)の場合
    自由な発想をチームに還元し、周囲に楽しさや活気を広げる。
    創造性が価値共創の起点になる。
  • 創造タイプ「テイカー」:独自のこだわりが強く、自分の世界観に没頭しやすい。
    協調性を欠くと孤立することも。

3.3 協調タイプの「ギバー」「テイカー」の特徴

  • 協調タイプ「ギバー」:相手に寄り添い、安心感を与える存在。
    チームのつなぎ役として活躍する。特に協調タイプは「自己犠牲型ギバー」になりやすい。
    内向的で自信なさげな立ち振る舞いは、仲臆病になりすぎてテイカーにつけ込まれやすい隙をつくる。
  • → 他者志向型ギバー(アザリッシュ)の場合
    人間関係を大切にし、信頼と共感を広げる。調和を保ちつつチーム全体の安心感をつくり出す。
  • 協調タイプ「テイカー」:甘えや依存が強まると、他人に負担をかけてしまうことがある。

3.4 堅実タイプの「ギバー」「テイカー」の特徴

  • 堅実タイプ「ギバー」:責任感が強く、安定した行動で周囲を支える。
    着実に信頼を積み重ねる。
  • → 他者志向型ギバー(アザリッシュ)の場合
    誠実で落ち着いた関わり方により、安心感を与える。チームに持続的な信頼をもたらす。
  • 堅実タイプ「テイカー」:利害を重視する合理性が強まると、
    短期的な損得で動く傾向がある。

このように整理すると、同じ人でも「ギバー」と「テイカー」の面があり、タイプによってその表れ方が異なります。
仲それぞれの特徴を理解することが、互いの強みを活かし合い、価値共創につながる関係性を築く第一歩となります。

4. 事例にみるアザリッシュ型チームの成功

アザリッシュ型の関わりは、スポーツの世界でもビジネスの現場でも成果を生み出してきました。
ここではその具体的な事例を紹介します。

サーバント・リーダーシップ×カラータイプ

4.1 ビジネス:オタフクソース(市場全体を育成する迂回型モデル)

オタフクソースは、商品そのものの販売にとどまらず、「お好み焼き文化」全体を育成する取り組みを続けてきました。

  • 教室の開催や文化普及活動を通じて、業界全体を活性化。
  • 自社の利益だけでなく市場全体の成長を促す「アザリッシュ型」の戦略と位置づけられます。

4.2 ビジネス:崎陽軒×まねき食品(共同開発)

崎陽軒(横浜)とまねき食品(兵庫)が共同開発した「関西シウマイ弁当」は、1年半にわたる協働の成果です。

  • 地域や会社の枠を超えた信頼関係に基づく連携。
  • 両社にとって利益となるだけでなく、業界全体を盛り上げる価値共創の典型例となりました。

4.3 スポーツ:バドミントンダブルス(タカマツ・ペア)

2016年リオ五輪で金メダルを獲得した「タカマツ・ペア」(高橋礼華選手・松友美佐紀選手)は、
タイプの異なる二人が長期的に信頼関係を築き上げた好例です。

  • 決断タイプのリーダーシップと、創造タイプの柔軟な発想が補完関係を形成。
  • 試合の場面では互いを支え合い、観衆までも巻き込む価値共創を実現しました。

一方で、テイカー同士のペアは衝突や不信感からチーム力を下げ、価値共破壊につながることも指摘されています。

スポーツの世界ではタイプの違いがチームワークに大きな影響を与えます。
次の章では、バドミントン競技を中心に、カラータイプ理論を活用した戦術分析や選手心理の研究について紹介します。

5. スポーツにみるカラータイプ理論の応用

前章でも触れたように、スポーツの世界でもカラータイプ理論が活用されています。
競技者の心理や行動パターンをタイプ別に捉えることで、より効果的な指導や戦略構築の可能性が見えてきます。

本研究の著者の一人は、長年バドミントン競技で活躍してきた現役プレイヤーです。
現在もシニアの日本・世界大会でシングルス・ダブルスともに優勝経験を持つ実力者として、豊富な現場経験をもとに研究を進めています。

本研究では、

  • 1)指導者とプレーヤーの関係構築における有効性
  • 2)試合に勝つための戦術・戦略構築における活用
  • 3)試合中の心理状態(ゾーン)との関係性

の3つのテーマから、カラータイプ理論の有効性を考察しています。

これらの研究を通じて、タイプの違いを理解することが選手の潜在能力を引き出し、チーム全体のパフォーマンス向上につながる可能性があると考えます。

5.1 バドミントンにおける対戦相手の心理分析

この研究では、バドミントン競技における「対戦相手の心理的特徴」を、カラータイプ理論をもとに分析しています。
プレイヤーの外見や所作、視線の傾向などからタイプを仮定し、そこから導かれる戦術・戦略パターンを考察したものです。

たとえば、

  • 決断タイプは堂々とした所作と強気なプレーで相手を圧倒し、創造タイプは遊び心ある戦い方でリズムをつくり出す。
  • 協調タイプは安定感と調和を重視し、堅実タイプは冷静な観察と粘り強さで勝負する。

このようにタイプによる心理的傾向を把握することで、試合中の相手の思考や反応をより的確に読み取ることができると考えられます。

また、指導やペア戦略の設計にも応用でき、選手同士のタイプ相性やチーム内の役割分担を考える上でも有効な視点を提供しています。

決断タイプ
見た目:目立つウエア(新作など)
所作:堂々としている
視線:ネット越しに相手をガン見する
仮説:力で勝つ押せ押せバドミントン

創造タイプ
見た目:流行のウェアに敏感にキャッチ
所作:いつも楽しそう
視線:何となく遠くの景色や天井などを見る
仮説:遊びを楽しむクリエイティブバドミントン

協調タイプ
見た目:かわいいウエア
所作:目立たないようにする
視線:伏し目がち
仮説:仲良しバドミントン

堅実タイプ
見た目:機能性重視のウエア
所作:普段と変わりない
視線:客観的に相手を観察
仮説:粘って勝つ手堅いバドミントン

詳細なデータや分析結果については、該当の研究論文をご参照ください。

バドミントンにおける対戦相手の心理分析 —カラータイプ理論をベースにして—

5.2 アスリートのゾーン体験

ゾーンは、集中と没入が極限まで高まり、心身のバランスが理想的に整った状態を指します。
本研究ではゾーン体験とカラータイプの関連に注目し、タイプごとの入りやすさや準備行動の傾向を探っています。

決断タイプ
重視の仕方:フィジカルとメンタルの両方を重視
意識の時制:現在〜近未来イメージ

創造タイプ
重視の仕方:メンタルを重視
意識の時制:肯定的未来イメージ

協調タイプ
重視の仕方:メンタルを重視
意識の時制:現在〜近未来イメージ

堅実タイプ
重視の仕方:フィジカルとメンタルの両方を重視
意識の時制:過去〜現在イメージ

詳細なデータや分析結果については、該当の研究論文をご参照ください。

アスリートのゾーン体験 —カラータイプ理論からのアプローチ—

6.カラータイプ理論×チームワークに関する研究論文一覧

価値共創マーケティングの新展開 —Adam GrantのGive&Take理論とカラータイプ理論からのアプローチ—

バドミントンにおける対戦相手の心理分析 —カラータイプ理論をベースにして—

アスリートのゾーン体験 —カラータイプ理論からのアプローチ—