【論文テーマ】カラータイプ理論×経営者研究
経営者の「意思決定」と「成長戦略」について

企業の成長を導くのは、戦略や仕組みそのものよりも、それを動かす“人”。すなわち経営者の意思決定にあります。

特に危機的な環境の中であっても、挑戦を恐れず行動する経営者もいれば、慎重に機をうかがう経営者もいます。
この違いは経験や知識だけでなく、個々の性格・思考パターンに深く関わっています。

本研究では、色彩心理をもとにしたカラータイプ理論を活用し、5名の経営者の「気質」と「行動傾向」を分析しました。

1. カラータイプ理論とは

カラータイプ理論は、色彩心理をベースに、カラーコンサルタントの
河野万里子が2009年に開発した性格タイプ分類の理論です。

13色で個人の資質を可視化できる点が特徴で、色のスコアに応じて
「決断タイプ」「創造タイプ」「協調タイプ」「堅実タイプ」の4つに分類されます。

それぞれの強みやこだわり、さらにタイプごとの
コミュニケーションスタイルを理解することで、
チームワークの向上や組織開発にも幅広く活用されています。

カラータイプ理論について詳しくはこちら

カラータイプ理論図

2. 経営者研究の背景と目的

変化の激しい時代において、企業の成長を左右するのは「経営者の意思決定力」です。
その背景には、戦略よりもむしろ人としての特性が影響しています。

本研究では、経営者の行動や判断の傾向をカラータイプ理論によって分析し、成功の共通点を探りました。

主な目的

  • 経営者の性格・思考パターンと経営判断の関係を明らかにする
  • タイプごとの戦略構築や実行の特徴を整理する
  • ダイナミック・ケイパビリティ理論(変化対応力)および
    エフェクチュエーション理論(創発的思考)との関係性を見る

3. 研究協力企業の経営者と分析方法

本研究は、経営革新や地域活性化に取り組む5名の経営者・戦略実行者の方々にご協力いただきました。
それぞれの企業がどのように変化を乗り越え、独自の戦略を生み出してきたのかを、
カラータイプ理論をもとに整理しています。

研究協力企業の分析方法

  • 各経営者のカラータイプ診断を実施
  • 性格・行動傾向を4タイプ(決断・創造・協調・堅実)で分類
  • 具体的に行なった経営判断や戦略の特徴をヒアリング
  • どのような行動が具体的な結果につながったのかを分析

4. カラータイプ理論でみる経営者の意思決定

カラータイプ理論を用いた分析の結果、
革新的な経営戦略を構築する経営者には、「決断タイプ」と「創造タイプ」の要素を併せ持つ傾向が見られました。

直感的に発想しながらも、行動をためらわず実行に移す。
このバランスが、変化の時代を生き抜く意思決定の特徴といえます。

決断×創造タイプの特徴

  • 判断が早く、反対意見の中でも行動に移す決断力
  • 柔軟な発想で新しい価値を見出す創造性
  • 計画と実行を同時に進めるスピードと即応力
  • 周囲に影響されず、自らのビジョンで動く推進力

4.1 カラータイプによる集団分析について

5名の経営者のカラータイプ分析では、
オレンジの合計点数が14点、
グレーは合計3点と極めて低い結果となりました。

この明確な対照が、
革新的な経営者の行動特性を象徴していると考えられます。

◆ オレンジの色彩心理

オレンジは「仲間意識」「社交性」「巻き込み力」を
象徴します。

  • 人を惹きつけ、共感を軸にチームを導く
  • 危機的な状況にも前向きなエネルギーを保ち、他者を鼓舞する
  • 自社に閉じず、地域や業界全体を巻き込む協働を生み出す

◆ グレーの色彩心理

グレーは「用心深さ」「控えめ」「デリケート」を
示す色です。

  • 行動する前に慎重に検討する
  • 目立った行動や突飛な発言はしない
  • 感情をあまり表に出さず、周りに合わせて脇役に徹する

4.2 事例分析

特に前章の特徴が出ていた経営者の例として、「決断×創造タイプ」でグレーが0点だったケースを紹介します。

具体的に行なった経営判断

  • 売上ゼロの危機に即断し、経営資源を再編
  • 地域の商材や人脈を活かし、共感者を巻き込む
  • 試行錯誤を繰り返しながら事業価値を再定義

このように、「決断×創造タイプ」の経営者は、「動きながら考える」柔軟なリーダーシップで組織を導き、
新しい価値を生み出すことが原動力になります。

詳細なデータや分析結果については、該当の研究論文をご参照ください。

革新的経営戦略で成長する経営者分析 ― カラータイプ理論をもちいたケーススタディ ―