カラータイプ理論は、色彩心理をもとに個人の特性や行動傾向を視覚的にとらえた心理アセスメントです。
近年のように先行きが不透明で複雑化した社会においては、明確な判断基準や円滑なコミュニケーションの方法がより
一層求められています。
そんな流れの中、特に暗黙知が重視される業界や企業では、社内コミュニケーションの課題解決が急務であり、
その具体的な改善手法を模索する動きが強まっています。
※本ページは、日本エニアグラム学会『エニアグラム 9つのプロフィール』他から
筆者が加工して引用しています。
エニアグラムでは、性格を言葉で整理するだけでなく、絵を描くワークを通じて“感覚的な自己理解”を深める手法が
あります。そしてカラータイプ理論も、色彩心理を活かして行動傾向や対人スタイルを“色”として視覚的に示すのが特徴です。
どちらも「視覚情報によって内面を可視化する」という共通点を持っており、結果を並べて見ることで、自分でも
気づかなかった内面のズレや矛盾に気付くことができます。
こうした視覚的な診断結果の「共通項」や「ズレ」をもとに、ヒアリングやフィードバックを進める際には、
「テストバッテリー」という考え方が有効的です。テストバッテリーとは、複数の診断手法を組み合わせることで、
一人ひとりの理解を立体的に深めるアプローチ法です。
この考え方を活かし、『エニアグラム』と『カラータイプ理論』の結果を突き合わせることで、より実践的な
コミュニケーション支援の可能性を垣間見ることができ、その研究を進めています。
エニアグラムとカラータイプ理論の組み合わせは、日本文化が色濃く残る現場で特に効果を発揮しやすい可能性があります。日本では「言葉にしない」ことを大切にする価値観が根強く、老舗旅館や伝統工芸の職場などでは、控えめな所作や
“阿吽の呼吸”が重視されています。こうした場面では、言葉では伝わりにくい思いや価値観が、コミュニケーションの
課題となることもあります。
また、家族経営や同族企業では、「言わなくても分かるはず」という前提が、時に無言のプレッシャーになることもあります。しかし、この“暗黙知”だけでは、次の世代への継承や外部との協働が難しいことは明らかです。
そこで、エニアグラムとカラータイプ理論を組み合わせることで、視覚的なアプローチから相手の内面を引き出すヒントが
生まれるのではないかと考えました。診断結果を並べて見せることで、控えめな人でも自分のことを語りやすくなり、
言葉にしない背景にある思いや考えを周りに知ってもらえるきっかけが生まれる可能性があります。
こうした手法は、次のような場面や対象者に特に役立つと考えます。
・伝統を大切にする企業(例:老舗旅館や工芸の仕事など)
・協調を重んじる職場や、控えめな人が多い業界
・親族間の関係性が密接な家族経営や同族企業
・代々の価値観を守りながら、次世代への継承を模索する現場
心理学における性格類型論の一つ。
性格を9つのタイプに分け、その相互関係を
エニアグラムの図形に落とし込み説明している。
人間の無意識の中にある情動や動機が
タイプによって違い、それぞれの価値観や思考、物事の捉え方の違いとして表れる。
対人関係においてもその特徴が出ると
言われている。
診断法① リソーハドソン式性格タイプ。
診断テスト各種あり。
診断法② 絵からタイプ予測が出来る。
色彩心理的な観点を基にして開発された
性格診断システム。
色彩心理のキーワードが重ならない13色を
選び出し色の意味が近いものを隣につなげた。
そのうえで人の気質を4タイプに分けた。
13色の色彩心理からも4つのタイプからも
アプローチが可能な性格診断である。
タイプ別コミュニケーション法が構築されている。
診断法① 78間の質問に答える(簡易版36問)。
診断法② 持ち物の色などからタイプ予測が出来る。
この研究は、「不確実な未来」に直面する起業家やリーダー層への支援への応用も可能であると考えています。
とくに近年注目されているエフェクチュエーション理論(未知の状況に柔軟に向き合う考え方)との関連も
視野に入れながら、視覚的診断ツールとしての活用の可能性を引き続き模索しています。こうした取り組みを通じて、
自己理解や行動の変化を支援する新たな手法を、今後も探求していく予定です。