【論文テーマ】
カラータイプ理論×コミュニケーション
すれ違いを理解に変える色彩心理を活かした関わり方

コミュニケーションは、人と人との関係を築くうえで欠かせない要素です。
しかし、価値観や伝え方の違いによって、思いがすれ違ったり摩擦が生じたりすることも少なくありません。

カラータイプ理論を応用することで、「なぜ相手に伝わらないのか」「なぜ衝突してしまうのか」といった課題に対し、
解決の糸口となる可能性を探っていきます。

本ページでは、チーム医療における看護師の役割と実際のコミュニケーション事例を中心に、タイプ別の特徴と対応方法を解説します。

さらに、保育現場でのサーバント・リーダーシップ研究にも触れながら、異なる領域へと応用が広がる可能性についても解説いたします。

1. カラータイプ理論とは

カラータイプ理論は、色彩心理をベースに、カラーコンサルタントの
河野万里子が2009年に開発した性格タイプ分類の理論です。

13色で個人の資質を可視化できる点が特徴で、色のスコアに応じて
決断タイプ、創造タイプ、協調タイプ、堅実タイプの4つに分類されます。

それぞれの強みやこだわり、さらにタイプごとのコミュニケーションスタイルを
理解することで、チームワークの向上や組織開発にも幅広く活用されています。

カラータイプ理論について詳しくはこちら

カラータイプ理論図

2. 医療現場におけるコミュニケーションの課題と研究の背景

医療現場におけるコミュニケーションの特徴として下記があげられます。

  • 医療が人間の「生命」に直接かかわっている
  • 患者は日常的に「負」の感情を抱えている
  • 医療は人が直接触れ合う「人」中心の現場である

さらに、医師・薬剤師・リハビリスタッフなど多くの専門職が協力する「チーム医療」が広がる一方で、
現場からは「立場や考え方の違いによって連携がうまくいかないことがある」という声が挙がっています。

患者にとっても、不安を感じる理由のひとつとして「医療者と十分にコミュニケーションが取れないこと」が多く報告されています。

こうしたコミュニケーションの課題に対して、
「どうすればもっとスムーズに伝え合うことができるのか」という
視点から色彩心理をベースにした「カラータイプ理論」を用いて、
各タイプのコミュニケーションスタイルから価値観や行動傾向を整理することで、
なぜ衝突やすれ違いが起こるのかを明らかにしました。

チーム医療のコミュニケーション課題

3. 医療現場で日常的に起こるコミュニケーションの問題

この論文チーム医療における看護師の役割とコミュニケーションの中では、医療現場で日常的に起こる下記の6つのケースを紹介しています。

決断タイプ同士で起こる問題

結論を急ぐあまり互いに衝突しやすい。
【例:ケア事前報告の場(看護師同士)】
報告がないことを無視されたと感じる決断タイプの看護師と、
聞けない雰囲気をつくっている相手の態度が悪いと考える決断タイプの看護師


創造タイプ同士で起こる問題

確認や段取りがあいまいで、ミスが重なることがある。
【例:予約確認(看護師同士)】
事前確認があいまいで予約確認が出来ていなかった創造タイプの看護師同士の思い込み


協調タイプ同士で起こる問題

行動に移すまで時間がかかり、不安を共有しながらも進められない。
【例:予定調整の場(看護師同士)】
忙しいときにお互いに不安に思っているのに素早く行動が出来ない協調タイプの看護師同士


堅実タイプ同士で起こる問題

新しい企画や変化に対応することが難しく、硬直する場面が生じやすい。
【例:研修メニュー検討の場(看護師同士)】
いつまで経っても新しい研修メニュー企画が出来なくて困っている堅実タイプの看護師同士


決断タイプ × 協調タイプで起こる問題

「結論を早く出したい」決断タイプと、「気持ちを汲んでほしい」協調タイプだと、
会話の焦点がずれる。
【例:薬の処方の場(医師と看護師)】
薬が必要か結論を聞きたい決断タイプの医師と、
患者さんの様子を先に聞いてほしい協調タイプの看護師とのコミュニケーションのズレ


創造タイプ×堅実タイプ で起こる問題

「柔軟に対応してほしい」創造タイプと、
「ルールを守ることを重視する」堅実タイプでは、規則に対する考え方に
食い違いが起きる。
【例:外出申請(患者と医師)】
ルールの例外を認めてほしい創造タイプの患者と、
ルールは例外なく守らなければならないと考える堅実タイプの医師との
コミュニケーションのズレ

3.1 カラータイプ別 医療現場での心理

下記は、医療現場で日常的に起こるコミュニケーションの問題を、
カラータイプ別に「性格タイプに基づく理由」と「その行動を取る理由」にまとめた表です。

タイプ別 心理と行動(表)

本研究で示された事例から、カラータイプ理論が医療現場のコミュニケーション改善に役立つ可能性が示されました。
この研究が医療や看護の現場で有効に活用できれば、医療従事者と患者の双方にとって、ストレスの軽減に貢献できるのではないかと考えます。

詳細なデータや分析結果については、該当の研究論文をご参照ください。

チーム医療における看護師の役割とコミュニケーション —カラータイプ理論からの考察—

4. サーバント・リーダーシップとカラータイプ理論

保育の現場でも、人間関係のストレスは離職理由の上位に挙げられており、コミュニケーション改善は重要な課題とされています。

そこで注目されているのが「サーバント・リーダーシップ」です。
これは、権限で人を動かすのではなく、支援や奉仕の姿勢を通じてメンバーを支えるリーダーシップのあり方を指します。

この論文 保育者におけるサーバント・リーダーシップでは、全国165名の保育士を対象にアンケート調査を実施し、
カラータイプ理論の特徴とサーバント・リーダーシップの9つの要素との関係を比較・検証しました。

その結果、園長と保育者の双方が「オレンジ決断タイプ)」と「水色協調タイプ)」の価値観を重視しており、
リーダーシップの理想像として共通の方向性を持っていることが明らかになりました。

これらのタイプは、支配型リーダーシップではなく、親しみやすさや共感を大切にする共感型リーダー像と重なります。

サーバント・リーダーシップ×カラータイプ

詳細なデータや分析結果については、該当の研究論文をご参照ください。

保育者におけるサーバント・リーダーシップ