色と物の不思議な見え方―側抑制②:ハーマン格子錯視現象について 後編-
次に、ハーマン格子の白黒を反転したような図(ヘリング格子と呼ばれている)を図9に示しています。交差点がやや白く見えています。図9. ヘリング格子

この場合は、ハーマン格子の白黒が反転しているので、交差点部分では、明るい背景の中に暗い点などがあると反応するOFF中心ON周辺型細胞が働きます。説明は省略しますが、先ほど説明したハーマン格子の逆のことが起こっています。
また、次に、いろんな形でも試してみました。
図10. 様々な形では?


形によって、交差点にハーマンドットがよく見えるもの(a、c、d、e、h)と、あまりはっきりしないもの(b、f、g)があるようです。
a~eは、先ほどの図6を用いて説明したON中心OFF周辺型細胞の側抑制説で説明できますが、fやgのような図形に錯視が生じないことは、側抑制説では説明しにくいです。また、hのように塗りつぶしていないにもかかわらず、錯視が生じてしまうものもあります。これも側抑制説では説明は難しいです。
このように1つの理由(側抑制説)だけでは、説明が不十分で、他にも原因があるようですね。でも、ハーマン格子錯視現象が起こっている理由としては、側抑制説が最有力説ということになっています。もう2つハーマン格子錯視に関連した面白い錯視図を紹介しておきます。
図11. きらめき格子 図12. スプリンガー線分

図11は、Schrauf らが発表した「きらめき格子」と呼ばれる図形で、ハーマン格子に似ていますが、白いラインでなく、グレーのラインを縦横に引き、交差点の所に白丸を配置した図形です。視線を動かすと、交差点の所の白丸が、黒く見えたり、白く見えたりします。
図12は、スプリンガー線分と呼ばれるもので、黒い小さな四角形が並んだ図形です。黒の四角形の間を斜めに薄く線が入ったように見えます。
参考文献(順不同)
宮本敏夫著 「図解雑学 脳のはたらき 知覚と錯覚 (図解雑学シリーズ)」 ナツメ社
石口彰著 「視覚 (キーワード心理学シリーズ)」 新曜社
北岡明佳著 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方 (DOJIN選書 1)」 化学同人
ジャック・ニニオ著 「錯覚の世界―古典からCG画像まで」(鈴木光太郎、向井智子訳) 新曜社
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