色や物の不思議な見え方 - 側抑制① 前編 -
錯 視―その1(側抑制―①:縁辺対比について)
図1.シュブルール錯視


「錯視」とは、本来見えるべき状態と見た感じが違って見える、いわゆる目の錯覚のことをいいます。つまり、視覚に関する錯覚で「錯視」です。例えば、図1の下側に示したシュブルール錯視がそうです。シュブルール錯視とは、図1の下側のようにグレーの明るさが段階的に暗く(明るく)なっている帯状の錯視図です。 図1の下側のシュブルール錯視は、実際は一つ一つの領域内は、図1の上側に示したように明るさが均一です。しかし、見た感じは、より明るい方に接している境界付近では暗く、より暗い方に接している境界付近では明るく見えます。このような現象は縁辺対比と言われます。この現象は、コピー機でコピーした時などでも生じることがあるらしいです。(→シュブルール錯視に関する詳しい解説は後述)
このシュブルール錯視のように実際と見た感じが異なって見える「錯視」の現象について、今回から何回かに分けてお話をしたいと思います。では、始めに「錯視」はどうして起こるのでしょう?図2をご覧ください。モノ(色)が見える経路について簡単に示しています。モノが見えるためには、光がものに当たり、そこで、そのモノ特有の反射が起こり、その反射した光が眼に入るのですが、そこで終わりではありません。眼から脳に情報が伝わって、脳で情報処理がされて、始めてモノが見えるのです。モノを見るためには、もちろん眼は必要ですが、その後の脳も絶対必要なのです。脳の働きがなくては、モノは見えないのです。図2. モノ(色)が見える経路
では、「錯視」は、この図2のどの部分で起こるのでしょう?モノの見え方ということでは、この経路のどの部分が変わっても、違ってくるのですが、「錯視」ということに限れば、眼から脳への経路(眼や脳を含む。以下でも同じ)ということになるでしょう。
図3. 目の断面図
そこで、眼から脳への経路について、もう少し詳しくお話しますと、眼に入った光は、角膜、前房、瞳孔、水晶体、硝子体を通り、網膜で像を結びます。網膜には、杆体や錐体という視細胞にあります。その視細胞にある視物質により、光の信号を電気的信号(神経信号)に変えます。そして、その信号は、視神経を通って、脳へと伝わります。脳では、その信号をもとに、情報処理され、モノが見えるのです。では、「錯視」はこの眼から脳への経路のどこで起こるのでしょうか?また、どういう時に起こるのでしょうか?仮に「錯視」は、この経路でトラブルを起こした時に生じるとして考えてみます。トラブルが起こった時だけに生じるなら、一回一回見るたびに錯視が見えたり、見えなかったりするのではないでしょうか。また、一人一人、人によって違ったように見えるのではないでしょうか。今回からお話しする「錯視」は、ある現象に対して、毎回毎回誰もが見えてしまうものを扱います。だから、こういったトラブルのようなものを扱うのではありません。では、毎回見えてしまう「錯視」は、どこで、どうして、なぜ生じるのでしょうか?実は、それは、この眼から脳への経路の元々から持っている特性によるものなのです。そして、この「錯視」が起こってしまう特性には、いくつかあります。起こる場所も、眼から脳への経路の中にいろいろあるのです。今回から何回かに分けて、その特性について、順々にお話したいと思います。
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